2018/12/12

日産の完成車検査不正「再リコール」問題をなぜ車メディアは報じないのか

日産が「最終報告後」も検査不正、再リコール

日産自動車は2018年12月7日、ブレーキやスピードメーターなど6項目で新たな検査不正が見つかり、11車種で約15万台のリコール(無料の回収・修理)を13日に国土交通省に届け出ると発表しました。

不正の判明は昨秋以降4度目。今年9月に検査不正に関する最終報告書を発表し、再発防止を約束しましたが、その後も不正が続いていたことになります。
(以上共同通信記事より引用)


日産の完成車検査に関する不正は、昨年9月に非正規の検査員が実施していたことが判明し、今年7月には燃費・排ガスに関する抜き取り検査でも不正が見つかっています。


先に書いておきますと、本記事は日産の検査不正自体について論じるのではなく、この問題を報じない自動車メディアサイトについて考察します。





「完成車検査」とは何か ”形骸化”した制度?

今回日産で新たに不正が判明したとされる「完成車検査」とはそもそも何か、についてここでおさらいします。

完成車検査とは、国土交通省に申請・届出した型式の自動車について、その通りに車が完成しているかを確認することです。

本来ならば車検場で行なうべきものを、生産台数が多いのでメーカーが現場で検査することになっています。

つまり、メーカーが国の業務を代行するという形式で、“完成車検査は相応の資格を持った検査員が行う”ということが、国交省と自動車業界の約束、すなわち”決まり”になっています。

自動車業界ではこの検査を”0回目車検”と呼んでいます。
この”0回目車検”は日本国内で販売する車のみに適用される制度です。


しかし、この完成車検査制度はすでに形骸化しているとの論調が、前回の”完成車検査不正ブーム”の中で出てきていました。

この制度は日本車の品質が悪かった大昔の頃の名残の制度である、とするものです。

検査をする”有資格者”もその要件はメーカー任せです。

制度自体が国交省の”利権”であるとの論調もあります。


しかしながら、現在の制度は制度、決まりごとは決まりごとです。

これを無視するようなことは許されることではありません。



今回の完成車検査不正を報じない自動車メディアと自動車ジャーナリスト

しかし、筆者が特に問題視しているのが、今回の日産の新たな検査不正問題を、車雑誌のサイトや自動車ジャーナリストが現時点(2018.12.10現在)でほとんど報じていないことです。

一般の通信社や新聞では報じています。
しかし車関係サイトで報じているところは僅かです。1サイトだけしか確認できませんでした。

今回の検査不正を最も詳細に報じていたのは以下です。

日産で新たな検査不正発覚 「ノート」「リーフ」など約15万台リコール

これによると、今回の完成車検査不正は、これまでの”不正”の、単に「無資格者が検査した」というものではなく、実際の自動車の動作に係る部分であることが分かります。

つまり、”工業製品”としての品質の根幹に係る部分です。



工業製品としての品質を見ることができない自動車ジャーナリストたち

今回の日産の問題を報じたり解説しないということは、「大した問題じゃない」という意識の表れだと思われます。

もしかしたら、実際にリコールが出てから報じるつもりなのかもしれませんが、メディアや”ジャーナリスト”であれば詳細が分かった時点で報じるはずです。

読売新聞などは「品質軽視が否定できない状況も明らかになった」と報じています。


自動車メディアや自動車評論家・ジャーナリストが報じないというのは、まさに彼らが自動車について「”工業製品”としての品質」を重要視していない、と言ってもよいのではないでしょうか。


自動車評論家などは一般ユーザーよりははるかにクルマに詳しいはず。
そういう人たちが今回の問題を解説できないはずがありません。


もしかしたら、自動車評論家と言われる人たちは、単なる”車マニア”で、走行性能や趣味性だけでしか自動車を評価できない人種なのかもしれません。
大量生産される”工業製品”としての観点からはクルマを見ることができない人たちなのかもしれません。

いろいろな自動車の評論を読むにそういうことを強く感じます。
そして今回の日産の検査不正からもさらにそれを感じました。


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